議会メモ
Memo
29年度2月通常会議 議案第22号 討論
市民ネット21を代表して、議案第22号「大津市一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」の委員長報告に反対の立場で討論を行います。
今回の条例案は人事・給与構造改革に関するものであり、労働条件の中でも重要な賃金が引き下げられる厳しい内容となっていますが、その目的は職員のモチベーションの向上とされています。「総額人件費の削減」や「国家公務員との給与の比較するラスパイレス指数の引き下げ」が目的ではなく、給与を下げて、モチベーションを上げるというのは一般的な感覚からずれており理解がしがたいものです。人事・給与構造改革については、必要であることを十分認識するところですが、今回の条例案による人事・給与構造改革には、3つの問題点があると考え、以下、指摘します。
まず今回の提案では、4月から現実的に給与が下がることによるモチベーションの低下以外に、給与システムの構造上の問題「滞留感」によるモチベーションの低下が問題となると考えます。今回提案の制度が実行されると、ポスト管理の徹底が明言されており、また、今後、非管理職の職級を1級廃止するため「今まで以上に」管理職直前の職級において職員が多数存在する状態になります。加えて、昇任しなければ42歳で昇給が停止することになり、従来の制度に較べて格段に「滞留感」「閉塞感」が増すことになります。市役所全体の人員構成から見て、この職級は人数が多く、かつ市役所の実務を中心的に担う層であり、この層の「滞留感」「閉塞感」が増すことは、組織の士気に大きく影響を及ぼすと考えます。昇進する人から見たときには問題の無いシステムかもしれませんが、組織において「マス」(多数)がどこにあり、その層のモチベーションをいかに保ち、向上させるのかという視点が欠落したシステムになっていると言えます。早ければ数年で、モチベーションの低下が、組織全体の課題として顕在化すると予測されます。これは執行部の説明にある持続可能なシステムという点でも疑問があると考えます。この点については、他の11項目の改革で解決できる課題ではなく、職員のモチベーションの低下につながると懸念されるところであり、当初の目的を達成するための手法として適切であると言えないと判断します。「目的と手法の不一致」。これが今回の議案の最大の問題点であると言えます。
次に、一般質問でも取り上げましたが、①能力、仕事の内容が変わらないのに給与が大幅に下がるということについて合理的な説明がつかず、評価制度との不整合が指摘される点②公務員の労働基本権の制限とその代償措置としての人事院制度との整合性やこれまでの労使交渉における議論の継続性に禍根を残す点③裁量が少ないのに責任が重いという管理職の、こちらはそれこそ職責と処遇の不一致に目を向けていない点、など課題が多く、また、今回の改革の発意のひとつとなった、時間外労働による部長級との給与の逆転現象を、非管理職の給与上限を下げることで解消しようなどというのは、そもそも時間外労働は誰が指示して行っているのかを考えても、まっとうな方法であるとは言えません。
これらが示すのは、「これまでの経緯」、「評価制度など他の制度」や「長時間労働の改善など他の施策」との整合が図られておらず、また、執行部からの一方的な提案となっており、多角的、総合的な視点での議論となっていないということであり、今回の議案の二つ目の問題点であります。
改めて、人事・給与構造改革については、必要であることを十分認識するところですが、今後厳しさを増す財政状況の中で人件費に向き合いながら、一方で市民サービスを向上させるためには職員の皆さんのモチベーションの維持・向上を図らなければならないという、非常に困難な改革であるといえます。今回の提案も、その目的をモチベーションの向上と謳いながら、目的に反する、厳しい内容となっていることからも明らかです。厳しい内容であればこそ、対象となる職員の皆さんには前向きに取り組んでもらう必要がありますが、そのためには、一定の納得が必要であると考えます。それを示す指標と言える「労使合意」がないまま、強引に条例案が提案されたことが、この条例案の三つ目の問題点であると言えます。
以上、述べた3つの問題点があることを理由として、議案22号の委員長報告に反対とし、討論とします。
2017.03.21
以下、給与構造改革で示された資料抜粋(一部加筆)
今回の条例案は人事・給与構造改革に関するものであり、労働条件の中でも重要な賃金が引き下げられる厳しい内容となっていますが、その目的は職員のモチベーションの向上とされています。「総額人件費の削減」や「国家公務員との給与の比較するラスパイレス指数の引き下げ」が目的ではなく、給与を下げて、モチベーションを上げるというのは一般的な感覚からずれており理解がしがたいものです。人事・給与構造改革については、必要であることを十分認識するところですが、今回の条例案による人事・給与構造改革には、3つの問題点があると考え、以下、指摘します。
まず今回の提案では、4月から現実的に給与が下がることによるモチベーションの低下以外に、給与システムの構造上の問題「滞留感」によるモチベーションの低下が問題となると考えます。今回提案の制度が実行されると、ポスト管理の徹底が明言されており、また、今後、非管理職の職級を1級廃止するため「今まで以上に」管理職直前の職級において職員が多数存在する状態になります。加えて、昇任しなければ42歳で昇給が停止することになり、従来の制度に較べて格段に「滞留感」「閉塞感」が増すことになります。市役所全体の人員構成から見て、この職級は人数が多く、かつ市役所の実務を中心的に担う層であり、この層の「滞留感」「閉塞感」が増すことは、組織の士気に大きく影響を及ぼすと考えます。昇進する人から見たときには問題の無いシステムかもしれませんが、組織において「マス」(多数)がどこにあり、その層のモチベーションをいかに保ち、向上させるのかという視点が欠落したシステムになっていると言えます。早ければ数年で、モチベーションの低下が、組織全体の課題として顕在化すると予測されます。これは執行部の説明にある持続可能なシステムという点でも疑問があると考えます。この点については、他の11項目の改革で解決できる課題ではなく、職員のモチベーションの低下につながると懸念されるところであり、当初の目的を達成するための手法として適切であると言えないと判断します。「目的と手法の不一致」。これが今回の議案の最大の問題点であると言えます。
次に、一般質問でも取り上げましたが、①能力、仕事の内容が変わらないのに給与が大幅に下がるということについて合理的な説明がつかず、評価制度との不整合が指摘される点②公務員の労働基本権の制限とその代償措置としての人事院制度との整合性やこれまでの労使交渉における議論の継続性に禍根を残す点③裁量が少ないのに責任が重いという管理職の、こちらはそれこそ職責と処遇の不一致に目を向けていない点、など課題が多く、また、今回の改革の発意のひとつとなった、時間外労働による部長級との給与の逆転現象を、非管理職の給与上限を下げることで解消しようなどというのは、そもそも時間外労働は誰が指示して行っているのかを考えても、まっとうな方法であるとは言えません。
これらが示すのは、「これまでの経緯」、「評価制度など他の制度」や「長時間労働の改善など他の施策」との整合が図られておらず、また、執行部からの一方的な提案となっており、多角的、総合的な視点での議論となっていないということであり、今回の議案の二つ目の問題点であります。
改めて、人事・給与構造改革については、必要であることを十分認識するところですが、今後厳しさを増す財政状況の中で人件費に向き合いながら、一方で市民サービスを向上させるためには職員の皆さんのモチベーションの維持・向上を図らなければならないという、非常に困難な改革であるといえます。今回の提案も、その目的をモチベーションの向上と謳いながら、目的に反する、厳しい内容となっていることからも明らかです。厳しい内容であればこそ、対象となる職員の皆さんには前向きに取り組んでもらう必要がありますが、そのためには、一定の納得が必要であると考えます。それを示す指標と言える「労使合意」がないまま、強引に条例案が提案されたことが、この条例案の三つ目の問題点であると言えます。
以上、述べた3つの問題点があることを理由として、議案22号の委員長報告に反対とし、討論とします。
2017.03.21
以下、給与構造改革で示された資料抜粋(一部加筆)